教育時事の重要事項：チーム学校・働き方改革・令和の日本型教育
学校教育の現場では、社会の変化や子どもたちの多様なニーズに対応するため、教育制度や学校運営の在り方が大きく見直されています。
本記事では、「チームとしての学校」「学校における働き方改革」「令和の日本型学校教育」という３つの重要テーマについて整理します。
1．チームとしての学校
「チームとしての学校」とは、複雑化・多様化する教育課題（例：心理的支援、福祉的支援など）に対応しつつ、教師が子どもと向き合う時間を確保するために、学校を専門職のチームで支える仕組みです。
（1）実現のための３つの柱
① 専門性に基づくチーム体制の構築
- 教員以外の専門スタッフ（スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、看護師など）を制度上に位置づけ、学校運営に参画させる。
- 指導教諭の配置などにより、教職員の指導・支援体制を強化する。
- 家庭や地域と連携・協働し、子どもの成長を支える体制を整える。
② 学校のマネジメント機能の強化
- 校長のリーダーシップを支える主幹教諭の配置や、事務機能の充実を通して、学校のマネジメント体制を確立する。
③ 教職員が力を発揮できる環境整備
- 教職員一人ひとりの資質向上と働きがいのある職場づくりを推進し、人材育成と業務改善を進める。
2．学校における働き方改革
働き方改革の目的は、教師の長時間勤務を是正し、授業改善や児童生徒と向き合う時間を確保することです。これにより、教師自身の人間性・創造性を高め、教育の質を向上させることが期待されています。
（1）業務の明確化と適正化
教師の業務のうち、外部に委ねることができるものや、分担すべきものを明確化します。
| 区分 | 主な業務内容 | 担い手の例 |
|---|---|---|
| 学校以外が担うべき業務 | 登下校時の見回り、夜間補導対応、学校徴収金の管理、地域ボランティア調整 | 地域組織、行政、外部団体 |
| 教師でなくても担える業務 | 統計調査回答、休み時間の見守り、校内清掃、部活動指導 | 事務職員、地域ボランティア、部活動指導員 |
| 教師が担うが負担軽減可能な業務 | 授業準備の補助、ドリルの丸付け、行事運営、家庭支援 | サポートスタッフ、事務職員、専門スタッフ |
（2）勤務時間の上限目安
- 1か月の在校等時間：45時間以内
- 1年間の在校等時間：360時間以内
これを超えないよう、校内で業務配分や会議の在り方を見直し、時間外勤務の削減を進めます。
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3．令和の日本型学校教育
「令和の日本型学校教育」とは、すべての子どもの可能性を最大限に引き出すことを目指した新たな教育ビジョンです。
その中心には、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の両立があります。
（1）個別最適な学び
一人ひとりの興味・関心、理解度、目標に応じて、学習内容や方法を柔軟に調整する学びです。ICTの活用や自律的な学習の促進が求められます。
（2）協働的な学び
他者との対話や協働を通じて、新たな価値を共に創造する学びです。グループ討議やプロジェクト型学習（PBL）などが有効です。
この２つを往還させることで、「知識の定着」と「思考・判断・表現の深化」を同時に実現します。
学校現場での活用ポイント
1．チーム連携による課題解決
スクールカウンセラー（SC）やスクールソーシャルワーカー（SSW）など外部専門家と連携し、福祉・心理面の支援を含むチーム体制を構築する。
→ 教師が一人で抱え込みがちな課題を「学校全体」と「地域」で解決する仕組みづくりを進める。
2．業務の重点化と時間確保
教員が専門性を発揮すべき業務に集中できるよう、サポートスタッフ・事務職員・部活動指導員を活用する。
→ 生まれた時間を授業改善、児童生徒理解、自己研鑽に活かす。
3．カリキュラム・マネジメントの実践
校長のリーダーシップのもと、学校としての重点目標や時間配分を明確化。
→ 家庭・地域と協働し、「社会に開かれた教育課程」を実現する。
4．「学び」の質的転換
授業の中で個別最適な学びと協働的な学びを組み合わせ、子どもたちの主体性と共感力を育てる。
→ 「知識を教える授業」から「共に学び、共に創る授業」への転換を進める。
まとめ
- チーム学校は、専門職の協働によって子どもの成長を支える仕組み。
- 働き方改革は、教師の時間を「子どもと向き合う時間」へ再配分する取り組み。
- 令和の日本型学校教育は、個別最適な学びと協働的な学びの両立を目指す新しい教育のかたち。
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須合 啓（教採スクール 代表）
＜経歴＞ 埼玉県公立高校教諭 12年 教採スクール運営 13年
＜合格実績＞ 教員採用試験「65受験地」全員合格実績あり
＜書籍＞
「自分で考えて動ける子の育て方」（2022年10月/明日香出版）
「自分から進んで学ぶ賢い子の育て方」（2024年8月/明日香出版）