特別支援教育の重要資料と理念の要点整理
1 特別支援教育の理念と共生社会
〔1〕特別支援教育の理念(平成19年通知)
特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立つものです。
幼児児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服するために、適切な指導および必要な支援を行います。
これまでの「特殊教育」の対象とされてきた障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、
特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍するすべての学校において実施される点が特徴です。
さらに、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ、
さまざまな人々が生き生きと活躍できる「共生社会」の形成の基礎となるものであり、
我が国の現在および将来の社会にとって重要な意味を持っています。
〔2〕共生社会とインクルーシブ教育システム
・共生社会とは
障害のある人を含め、一人ひとりが積極的に参加・貢献していくことができる社会、
すなわち、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、多様な在り方を認め合う全員参加型の社会を指します。
・インクルーシブ教育システムとは
インクルーシブ教育システムは、障害者の権利に関する条約第24条に基づく理念です。
その目的は、次のように整理されます。
- 人間の多様性の尊重を強化すること
- 障害のある者が精神的・身体的能力等を可能な最大限度まで発達させること
- 自由な社会に効果的に参加することを可能とすること
仕組みとしては、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ教育制度を整えるとともに、
障害を理由として教育制度一般から排除されないこと、
個々に必要な合理的配慮が提供されることが求められます。
〔3〕多様な学びの場(連続性)
インクルーシブ教育システムにおいては、「同じ場で共に学ぶこと」を追求するとともに、
個別の教育的ニーズをもつ幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えながら、
その時点でニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。
連続性のある多様な学びの場として、次のような場が用意されます。
- 通常の学級
- 通級による指導
- 特別支援学級
- 特別支援学校
共に学ぶ場においては、それぞれの子どもが授業内容が分かり、学習活動に参加している実感・達成感をもてるかどうかが重要であり、
そのための環境整備が不可欠であるとされています。
2 チーム支援体制と個別の計画
〔1〕校内支援体制(校内委員会)
各学校は、校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立します。
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒の実態把握や支援方策の検討などを行うため、
校内に特別支援教育に関する委員会を設置することが示されています。
・委員会の主な構成例
- 校長
- 教頭
- 特別支援教育コーディネーター
- 教務主任
- 生徒指導主事
- 通級指導教室担当教員
- 特別支援学級担任
- 養護教諭
- 該当学級担任
- その他必要と思われる者
〔2〕個別の計画
1)個別の教育支援計画
- 乳幼児期から学校卒業後までを見通し、長期的な視点で一貫した教育的支援を行うための計画です。
- 医療・福祉・労働など、さまざまな側面からの取組を含めた支援内容を整理します。
- 特別支援学校では、この計画を活用した効果的な支援が求められており、小・中学校等においても必要に応じて策定し、関係機関と連携した支援を進めることが奨励されています。
- 合理的配慮の内容は、この「個別の教育支援計画」に明記し、次の学年や次の学校段階へ確実に引き継ぐことが重要です。
2)個別の指導計画
- 障害の重度・重複化や多様化に対応した教育を進めるため、特別支援学校では個別の指導計画を活用し、指導の一層の充実を図ります。
- 小・中学校等においても、必要に応じて作成し、一人一人に応じた教育を進めることが求められています。
- 通級による指導・特別支援学級・特別支援学校では、個別の指導計画の作成が義務付けられています。
- 通常の学級に在籍する障害のある子どもの各教科等の指導に際しても、作成に努めることが示されています。
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3 合理的配慮とその決定
〔1〕合理的配慮の考え方
合理的配慮とは、障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、
学校設置者および学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことをいいます。
ただし、学校設置者および学校に対して、体制面・財政面などにおいて、均衡を失した又は過度の負担を課さない範囲で行われるものとされます。
〔2〕合理的配慮の決定プロセス
- 合理的配慮は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズに応じて個別に決定されます。
- 学校設置者および学校が決定するに当たっては、本人および保護者と十分に話し合い、
個別の教育支援計画の作成過程を通して可能な限り合意形成を図った上で決定・提供されることが望まれます。
〔3〕意見が一致しない場合
設置者・学校と本人・保護者の意見が一致しない場合には、教育支援委員会等の第三者的な機関の助言等を活用し、
その解決を図ることが望まれます。
〔4〕基礎的環境整備
合理的配慮を充実させるためには、学校施設・教材・人的体制など、基礎的環境整備の充実が不可欠です。
その上に、個々の合理的配慮が位置付けられるという考え方が示されています。
4 すべての教師に求められる専門性
〔1〕基礎知識の習得
すべての教師には、次のような力が求められます。
- 障害の特性に関する理解
- 指導方法を工夫・改善する力
- 個別の教育支援計画・個別の指導計画など、特別支援教育に関する基礎的知識
- 合理的配慮に対する理解
〔2〕社会モデルの視点
障害者が日常生活や社会生活において受ける制限は、本人の障害だけでなく、社会に存在するさまざまな「障壁」との相互作用によって生じる、
という「社会モデル」の考え方を踏まえることが重要です。
〔3〕本人の立場に立つ姿勢
本人の立場に立って困難を捉え、学習上・生活上の困難について、どのような支援があればよいのかを、本人と共に考えていく姿勢や経験が求められます。
〔4〕学級経営・授業づくりへの活用
こうした知識や姿勢を、多様な教育的ニーズのある子どもがいることを前提とした学級経営・授業づくりに活かしていくことが必要です。
5 学校現場での活用
これらの特別支援教育に関する重要な資料と理念の知識は、
教師がインクルーシブ教育の理念に基づき、すべての子どもにとってよりよい教育環境を構築する際の実践的な指針となります。
〔1〕校内体制の構築
特別支援教育コーディネーターを核とする校内委員会の役割や構成を理解し、
全教職員の一員として、実態把握・支援方策の検討・評価に参画することで、全校的な支援体制を構築する際に活用されます。
〔2〕個別の支援の推進
個別の教育支援計画と個別の指導計画を通じて、障害のある子どもの教育的ニーズ(特別な指導内容や合理的配慮を含む)を整理し、
乳幼児期から卒業後まで切れ目のない一貫した支援を提供する際の基盤となります。
〔3〕合理的配慮の実践
合理的配慮の定義と「過度の負担を課さない」という制限を理解した上で、
保護者や本人との合意形成を図り、個別の教育支援計画に明記された支援内容を、学校として適切に実施する際に活用されます。
〔4〕生徒指導への配慮
いじめや不登校などの生徒指導上の問題に対して、表面的な行動だけで判断せず、
その背景に障害特性に由来する困難がないかどうかを含めて慎重に見立てる際の視点として活用されます。
〔5〕共生社会の基盤づくり
交流および共同学習を、障害のない児童生徒の障害理解を深め、共生社会の基礎となる豊かな人間性を育む機会として位置付け、
組織的・計画的・継続的に実施していく際の理念的な裏付けとして活用されます。
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須合 啓(教採スクール 代表)
<経歴> 埼玉県公立高校教諭 12年 教採スクール運営 13年
<合格実績> 教員採用試験「65受験地」全員合格実績あり
<書籍>
「自分で考えて動ける子の育て方」(2022年10月/明日香出版)
「自分から進んで学ぶ賢い子の育て方」(2024年8月/明日香出版)
