道徳教育の目的と「特別の教科 道徳」
なぜ「道徳」は教科になったのか。評価の特例と指導の要点をおさえよう
道徳教育は、「特別の教科 道徳」(道徳科)を要として、学校の教育活動全体を通じて行うものと位置づけられています。子どもたちの人格の完成をめざし、知育・徳育・体育の基盤として重要性が高まっています。本稿では法的根拠、目標と内容、推進体制、評価の特例を整理します。右ページの図解と併読してください。
必修ポイント(試験頻出)
- 道徳教育の目標と根拠法(教育基本法、学校教育法)
- 学校教育活動全体で行う道徳教育と、「特別の教科 道徳」の関係
- 道徳性の三要素(道徳的判断力・心情・実践意欲と態度)
- 数値評価を行わず、記述式の個人内評価を行う特例
- 道徳教育推進教師の役割、全体計画・年間指導計画の作成上の留意点
1.道徳教育の目標と内容
【目標】
教育基本法および学校教育法の理念に基づき、人間尊重の精神と生命への畏敬を土台に、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う。
【道徳性の三要素】
- 道徳的判断力
- 道徳的心情
- 道徳的実践意欲と態度
【指導内容の四つの視点】
A 自分自身に関すること(自律、正直、努力、真理の探究 など)
B 人との関わりに関すること(親切、思いやり、感謝、友情、相互理解 など)
C 集団や社会との関わりに関すること(規則の尊重、公正・公平、勤労、公共の精神、伝統と文化の尊重、国際理解 など)
D 生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること(生命の尊さ、自然愛護、感動、よりよく生きる喜び など)
指導のねらいは、上記の価値理解を基盤に、子どもが自分事として多面的・多角的に考え、自己の生き方を深める学習過程を通じて三要素を均衡よく育てることにある。
2.指導計画と推進体制
【学校体制】
校長が方針を明確化し、道徳教育推進教師を中心に全教職員で展開する。学級担任による授業を原則としつつ、校内の組織的支援体制を整える。
【計画づくりの基本】
- 道徳教育の全体計画を策定し、学校教育目標や各教科・特別活動との関連を整理する。
- 全体計画にもとづき、道徳科の年間指導計画を作成する。内容項目は各学年で漏れなく扱うことを原則とする。
- 情報モラルなど現代的課題も計画段階で位置づける。
【指導法の工夫】
考え、議論する授業を軸に、問題解決的な学習、体験的な活動、記述や討論などの言語活動を充実させる。児童生徒と教師の信頼関係を土台に、自己を見つめる学びを深める。
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3.評価の特例(数値化しない記述式の個人内評価)
道徳科の評価は他教科と異なり、数値による評定は行わない。入学者選抜の合否判定に用いないため、調査書に数値等で記載しない。
【評価の基本】
- 学習状況と道徳性に関わる成長の様子を継続的に把握し、指導に生かす。
- 記述式で評価する。よい点や進歩の状況を具体的に示し、以前の自分と比べた成長を捉える個人内評価を重視する。
- 観点例:一面的な見方から多面的・多角的な見方への発展、価値理解の深まり、自己の生き方との関係づけ。
- 具体的手立て:ポートフォリオ、学習記録、エピソードの蓄積、作文・レポート等。
学校現場での活用(設計のヒント)
- ねらいの明確化
三要素(判断力・心情・実践意欲と態度)を単元のねらいに落とし込み、評価観点と対応させる。 - 学習過程の設計
導入で価値に出会わせ、資料の読み取りや対話で多面的に考え、自己の生き方に結ぶ書く活動で内省を深める。 - 全体計画と横断化
各教科や総合的な学習、特別活動と関連付けて年間計画を編成する。体験活動や地域連携で学びを生活に接続する。 - 評価の運用
記録は簡潔に継続する。個人内評価の視点で成長の証拠を積み上げ、保護者面談や校内共有に活用する。
まとめ(要点チェック)
- 根拠法に基づく教育活動全体としての道徳教育と、要となる道徳科の関係を説明できる。
- 三要素と四つの視点を対応づけ、年間で漏れなく扱う。
- 評価は数値化せず、記述式の個人内評価を行う。調査書に数値等で記載しない。
- 道徳教育推進教師を中心に、全体計画と年間指導計画を組織的に作成する。
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須合 啓(教採スクール 代表)
<経歴> 埼玉県公立高校教諭 12年 教採スクール運営 13年
<合格実績> 教員採用試験「65受験地」全員合格実績あり
<書籍>
「自分で考えて動ける子の育て方」(2022年10月/明日香出版)
「自分から進んで学ぶ賢い子の育て方」(2024年8月/明日香出版)
