問題行動への対応と組織的体制

児童生徒の安全と人権を守るための基本指針


必修ポイント

  • いじめの定義(「心身の苦痛」を感じているかどうか)と基本理念(学校内外を問わず行われなくなることを旨とする)を正確に理解する。
  • 学校および教職員の責務(組織的・迅速な対処、関係機関連携)と、いじめ対策組織の役割を把握する。
  • 重大事態の定義(生命・心身・財産への重大被害の疑い/不登校相当の欠席の疑い)と調査の主体を区別する。
  • 暴力行為の種類と、学校内における生徒間暴力が多いという傾向を理解する。
  • 非行の三分類(犯罪少年・触法少年・ぐ犯少年)を正確に覚える。

1. いじめの定義と基本理念(いじめ防止対策推進法)

定義(第2条)
一定の人的関係にある児童等が行う心理的・物理的な行為(インターネットを通じたものを含む)で、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。発生場所は学校内外を問わない。

基本理念(第3条)
学校の内外を問わず、いじめが行われなくなるようにすることを旨として取り組む。


2. 学校・教職員の責務と組織的対応

学校・教職員の責務(第8条)
学校全体で防止と早期発見に努め、疑いを把握した段階で適切かつ迅速に対処する。

いじめ対策組織の設置(第22条)
特定の教職員に抱え込ませず、複数の教職員と専門家(SC・SSW 等)で構成する校内組織を設置。被害児童生徒の安全確保、加害児童生徒への指導、保護者支援、関係機関連携を一元化する。

重大事態(第28条)

  • 生命・心身・財産に重大な被害の疑いがある場合
  • 相当の期間の欠席(概ね30日)が見込まれる・生じている疑いがある場合
    → 設置者の下に調査組織を設け、疑いの段階から速やかに調査を開始する。

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3. いじめの現状と早期対応の基本

  • 認知件数は、把握や見取りの精緻化、ネット上のいじめへの対応強化などを背景に増加傾向
  • 態様としては、冷やかし・からかい、悪口など言語的・心理的ないじめが多い。
  • いじめは大人の目が届きにくい時間・場所、遊びやふざけ合いを装って行われやすい。
  • 早期発見のために、アンケート、個別面談、健康観察、オンラインでの相談窓口など複線化した把握手段を活用する。

4. 重層的支援構造(いじめ対応の全体像)

名称 対象 進行の軸 主な内容
第1層 発達支持的生徒指導 すべて 常態的・先行的 日常の関わり・人権教育・安心安全な学級づくり
第2層 課題未然防止教育 すべて 常態的・先行的 道徳・学級活動での系統的予防プログラム、規範意識と言語活動の充実
第3層 課題早期発見対応 一部 即応的・継続的 兆候の把握、初期介入、被害の遮断・安全確保、記録化
第4層 困難課題対応的指導 特定 即応的・継続的 校内対策組織主導の計画的支援、外部機関連携、再発防止策

未然防止の要点

  • 「傍観者」を仲裁者・相談者へ転換する学級経営。
  • 人権・法教育を通じて「いじめは権利侵害・場合により犯罪」という認識を共有。
  • 教師は「被害者を守り抜く」明確な意思表明と、信頼関係の形成を徹底。

5. 重大事態の調査と対応原則

  • 疑いの段階から重大事態として扱い、設置者が主導して調査組織を設置。
  • 学校・設置者は自らも調査対象になり得ることを自覚し、公平・中立・迅速に事実解明を行う。
  • 児童生徒・保護者からの申立てがあった場合、学校判断のみで重大事態でないと断定しない。
  • 生命・身体・財産に重大な被害のおそれがある場合、直ちに警察通報・連携を行う。

6. 暴力行為と非行の基礎知識

学校内の暴力行為の主な区分

  • 対教師暴力/生徒間暴力/対人暴力/器物損壊
    なかでも生徒間暴力が多い傾向にある。

非行少年(少年法第3条)の三分類

  • 犯罪少年:罪を犯した20歳未満の者
  • 触法少年:14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者
  • ぐ犯少年:将来罪を犯すおそれのある者(不良行為性等)

対応の基本
早期発見・早期介入を徹底し、学校単独で抱えず、警察・児童相談所・少年サポートセンター等と多機関連携で支援する。


7. 学校現場での実装チェックリスト

  • 校内「いじめ対策組織」の設置・運用(役割分担・意思決定フロー・危機時の連絡網)が明確か。
  • 年間の未然防止プログラム(第2層)を系統化し、学級経営と結びつけているか。
  • 早期発見のための複線的な把握手段(アンケート、面談、オンライン相談、観察記録)が機能しているか。
  • 重大事態の初動手順書(通報基準・設置者報告・記録様式・保護者説明)が整備され、訓練されているか。
  • SC・SSW との定例ケース会議、教職員研修、保護者支援の仕組みがあるか。
  • 事案終結後、再発防止策の検証・改善(校内研修、学級再構築、関係修復プログラム)が実行されているか。

まとめ

  • いじめ対応は、法に基づく定義の正確な理解と、疑いの段階から動く初動の速さが要。
  • 日常の発達支持と未然防止を土台に、重層的支援で切れ目なく対応する。
  • 校内組織と外部機関連携を核に、被害者保護を最優先しつつ、教育的配慮の下で加害児童生徒の指導・支援も継続する。

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”STAY LEARNING, STAY GROWING.” —— 学び続け、成長し続ける。
須合 啓(教採スクール 代表)

<経歴> 埼玉県公立高校教諭 12年 教採スクール運営 13年
<合格実績> 教員採用試験「65受験地」全員合格実績あり
<書籍>
「自分で考えて動ける子の育て方」(2022年10月/明日香出版)
「自分から進んで学ぶ賢い子の育て方」(2024年8月/明日香出版)


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