【POINT】
子どもの権利を守るために、教員には
「気づく責務」
「つなぐ責務」
「守る責務」
が法律によって明確に課されています。
虐待・いじめ・性暴力・貧困は、すべて見過ごしてはならない重大な人権問題です。
【子どもの権利と虐待・いじめ防止法の要点】
1.児童虐待防止法と虐待の4類型
児童虐待防止法では、保護者による虐待を次の4類型に分類しています。
身体的虐待
殴る、蹴るなど身体に外傷を与える行為
性的虐待
わいせつ行為をする、または見せる行為
ネグレクト
食事を与えない、医療を受けさせない、放置するなどの保護の怠慢
心理的虐待
暴言、無視、きょうだい間での著しい差別的扱いなど、心に苦痛を与える行為
この4類型を正確に区別できることが、教員採用試験では必須です。
2.早期発見と通告義務
学校の教職員は、児童虐待を発見しやすい立場にある者として、早期発見に努める責務があります。
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合、
確証がなくても、
速やかに市町村の福祉事務所や児童相談所へ通告しなければなりません。
「思われる」という段階で通告が義務となる点は、非常に重要な出題ポイントです。
3.いじめ防止対策推進法と教職員の責務
いじめ防止対策推進法では、いじめを
「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」
と定義しています。
加害者の意図や回数は要件ではありません。
被害を受けた児童生徒の感じ方が基準となります。
また、次のような場合は重大事態に該当します。
生命や心身に重大な被害が生じた疑いがある場合
相当期間、学校を欠席することを余儀なくされた疑いがある場合
重大事態が発生した場合、学校設置者のもとで事実関係の調査が行われます。
4.教員の性暴力防止と免許制度
教育職員等による児童生徒性暴力は、法律により厳しく禁止されています。
性暴力を行い免許状を失効した者については、
再免許の授与に厳格な制限が設けられています。
これは、学校という場の安全性と信頼を守るための制度です。
5.こども基本法と子どもの権利の理念
こども基本法は、次の理念を基本に据えています。
子どもの最善の利益が最優先されること
子どもの意見が尊重されること
この理念は、すべての教育施策や学校対応の判断基準となります。
6.子どもの貧困対策と教育の役割
子どもの貧困対策は、家庭だけの責任ではありません。
教育支援
生活支援
経済的支援
を、包括的かつ早期に講じることが法律で定められています。
教員には、貧困による学習や生活の困難に気づき、支援制度につなぐ役割が求められます。
【教採試験受験アドバイス】
この分野は「知っているか」ではなく、
「立場と責務を整理できているか」が問われます。
特に押さえておくべきポイントは次のとおりです。
・虐待は4類型で整理する
・確証がなくても通告義務がある
・いじめは被害児童の感じ方が基準
・重大事態は学校設置者が関与する
・子どもの最善の利益がすべての判断基準
教員は、指導者である前に
子どもの権利を守る専門職です。
法的根拠と役割を正確に理解しておくことが、合格にも、現場でも必ず生きてきます。
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須合 啓(教採スクール 代表)
<経歴> 埼玉県公立高校教諭 12年 教採スクール運営 13年
<合格実績> 教員採用試験「65受験地」全員合格実績あり
<書籍>
「自分で考えて動ける子の育て方」(2022年10月/明日香出版)
「自分から進んで学ぶ賢い子の育て方」(2024年8月/明日香出版)

