[場面指導]
度々遅刻をする児童生徒がいます。そのたびに遅刻をしないよう指導していますが、「だれにも迷惑をかけていない」「欠席よりはましだ」などと反抗することもあり、困っています。どのように指導したらよいでしょうか。

学習コーチ

(1) 遅刻はよくないことと理解させる
学級内に勝手気ままに遅刻する児童生徒がいると、その学級は集団としてのまとまりがなくなります。まとまりのない学級生活が続くと児童生徒に情緒不安が生じ、学級内での学習及び諸活動の成果が思うように上がらなくなります。その意味で、遅刻は他人にも迷惑をかけていると理解させる必要があります。また、定刻に集合することは、社会生活において時刻を守るという意味で基本的なルールです。実社会に出る前に基本的な生活習慣を十分に身に付けることが必要であることを理解させます。

(2) 遅刻の原因を探り、指導の対策を立てる
遅刻の指導では、単なる注意だけでは指導の効果が上がらないこともあるので、遅刻の原因を調べ、指導の方法を再考する必要があります。本人に関しては、怠け心によるのか、周囲に対する反抗か、何か健康上の問題があるのか、学校に関しては、特定の曜日と関連はあるか、家庭に関しては、保護者のしつけが不十分なためか、家庭のやむを得ない事情によるものかなど、その原因を探ることが大切です。
原因を探る手立ては、学校生活のあらゆる機会に話し掛けるなどして、よりよい人間関係づくりを図ることです。また、保護者と本人を含めて話し合いをもつことも大切になります。なお、中・高校生の場合は、心理的に親から独立したい欲求が強いので、本人が三者面談を行うことを納得しない場合、事態を悪化させないよう、保護者に働きかける配慮が必要です。いずれにしても、全ての児童生徒は、心の中ではよくなりたいという気持ちをもっていると考え、その気持ちに訴え、前向きに改善するための指導をしていきます。

(3) 遅刻指導の組織的な取組
遅刻を放置すると、やがて常習化してしまいます。放置することで遅刻者の数が増し、集団化し、担任一人の取組では指導が困難になります。生徒指導部または学年の教師が中心となって、他学年・他学級の教師や養護教諭等との連携を図りながら、一人一人の教職員の役割を明確にして指導に当たることが必要です。