[教採場面指導]
先輩の先生に「学級づくりで大切なことは、児童生徒に、自治的な意識をもたせることです」と言われました。学級の現状は、一人一人の関心がバラバラでまとまりがなく、学級内の仕事なども進んでできず、指示を待って行う状態です。子供が自主的、自発的に行動し、学級としてまとまりのある行動を生み出すには、どうしたらよいでしょうか。
学習コーチより
(1) 学級の生活目標をつくる過程の重視
まとまりのある学級をつくるための方法の一つに生活目標の設定があります。以下の点に留意しながら、児童生徒にも話し合わせて、どんな学級にしたいかなどの願いを盛り込み、担任と児童生徒の気持ちが結集されるようにつくり上げ、運用していくことが大切です。
1.生活目標は、毎日の生活の中で常に意識されるよう具体的な言葉や表現等で表す。
2.日々の学級の活動を生活目標に照らして点検・確認する。
3.重点目標を、学期ごとあるいは月ごとにつくって、当面の課題を適切に取り上げる。
4.生活の目標が達成されたときは、学級全員で喜びを分かち合う。
こうして自分たちの学級は自分たちの手でつくっていくのだという意識を、いつも喚起しておくことが必要です。
(2) 触れ合いの場の設定
児童生徒は、先生と一日に一度は話したいという気持ちをもっています。そこで大切なことは、学級担任として児童生徒との触れ合いの場を多くもつことです。そのために、日々の声かけはもちろんのこと、休み時間などは一緒に遊んだり、スポーツをしたり、楽しいことを一緒に行ったりします。また、清掃時間などにおいては、ともに働き、その中で声をかける機会をもつようにします。このように、児童生徒と一緒に過ごすことで、心の交流が深まるとともに、一人一人への深い理解と学級の実態把握ができ、学級の課題解決の糸口が見つかってくるものです。ただ、教育の仕事は、根比べの面もあり、時には待つことも必要です。児童生徒はそれぞれに悩みや苦しみをもちながら、強く生きていこうと努力しているのです。教師は、待ちの姿勢と長い見通しをもった温かい目で児童一人一人を認め、励ましながら指導していくことが大切です。
(3) 学級活動等への積極的な参加
学級活動をはじめとして、児童会活動・生徒会活動、学校行事、クラブ活動・部活動などへ積極的に参加するように勧めることが大切です。学級生活向上のために係活動を活発化させたり、全員で役割を分担し、協力して楽しい集会活動を行うなどしたりして、その成果をしっかり見届け、認め励まし、学級への所属感を深めることが重要です。そのためには、活動のための時間、場所を決めておいたり、紙やペン等の用具を準備しておいたりするとよいでしょう。これらの経験が、学級の中での協力的な態度や積極的な活動を生み出す力となり、児童生徒は自ら活動する中で成長していくものです。