[場面指導]
2学期になり、学校の中に派手な髪型の児童生徒が数名出てきました。また、他の児童生徒にも服装の乱れが見られるようになりました。どのように指導したらよいでしょうか。

学習コーチより

(1) 行動の背景にある考え方や環境の理解
児童生徒は、教師のとっている態度の中で「公平さ」ということに極めて敏感に反応します。例えば、えこひいきがあったり、児童生徒の短所ばかりを指摘してさげすんだりするような態度を最も嫌います。こうした態度があるとしたら、児童生徒は教師を信頼せず、何度注意されても規則を守る気持ちが起きません。どんな不正も許さない毅然とした態度と、厳しさの中にも温かさがあり、一人一人を尊重している教師の言動によって校内の秩序が保たれ、規則が遵守されます。
髪型や服装の違反などをする児童生徒の心理状態には、自己主張、欲求不満のはけ口、劣等感の解消、大人や規則への反発などが見られます。そこで指導方針としては、

第一に、違反行為に対して毅然とした態度で認められない行為であることを告げ、直す必要のあることを伝えます。

第二に、違反行為の背景にある児童生徒の考え方を理解するために、本人や保護者と繰り返し話し合います。

第三に、社会の現実や規則の必要性を教えます。

第四に、教師自身の行動も大切です。力で押さえ付けることが、別の形、例えば喫煙や器物損壊などの行為として現れる場合があるので、学校生活や進路などへの関心・意欲を高め、やる気を起こさせる指導が必要です。

(2) 個別的な指導と全体的な指導の組合せ
規則遵守の指導では、違反者だけでなく全校児童生徒への指導も同時に行います。

ア 個別指導
集団生活に規則は必要だと明言した上で、児童生徒の言動に注目して言い分を十分に聴いてみます。裏切られてもあきらめない粘り強い指導から、次第に心の交流ができるようになります。

イ 学級での指導
学級内での孤立感や劣等感がますます違反の状況を悪くする場合があるので、全員の前での厳しい注意は避け、あとで個別に指導します。改善の兆しが見えたら励ましたり、褒めたりします。また、係や仕事を任せて責任をもたせることで自尊感情を高め、学級内での存在感を与えます。そうした仕事を通して、約束を守ることや助け合うことの必要性を理解させることも大切です。

ウ 全校・学年指導
学級や学年によって対応に違いを生じさせないように指導基準を確立します。