[場面指導]
不登校のうち不安など情緒的混乱が原因だと思われる児童生徒やその保護者に対して、どのように見定め、対応したらよいのでしょうか。

学習コーチより

(1) 不登校の前兆
不登校とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」を言います。次のようなことが起きたら、不登校の予兆と考えられますので、早急に対応する必要があります。

ア 欠席や遅刻・早退が次第に増えてくる。

イ 朝食や給食を食べたがらなくなる。

ウ 授業中ぼんやりしている。

エ 口数が減る。

オ 教室に居づらいと言う。

カ 人の目を気にする。

キ 身体の不調を訴え保健室に出入りする。

ク おどおどした態度をとる。

ケ 登校時間になるとよくトイレに行く。

コ 不眠を訴える。

サ 登校前に頭痛や腹痛を訴える。

などです。

こうした兆候の背景に、気分の落ち込み、対人的な悩み、不安の高まり、自信の喪失などが隠されていることがあります。したがって、教師は児童生徒のこれらの行動に気付いたら、あれこれ指示や助言をする前に、まず、ゆっくりと話を聴き、今気になっていることや感じている不安を受け止め、共に考えていく姿勢をもつことが大切です。

(2) 不登校の児童生徒の特徴と対応

不登校の状態が固定化することがあります。
夜寝つけなく眠りが浅かったり、朝起こしても起きられなかったりします。逆に早朝に目が覚めてしまう例も見られます。また、自室に閉じこもり一人で過ごしたり、外出が困難になったりします。電話に出ることも嫌がります。家族とも話をしたがらず、イライラすることが多くなります。発熱や下痢などの身体症状が現れることも少なくありません。このような状態に陥った場合には、本人が心を休め、心のエネルギーを回復させることが大切です。ですから、友人を迎えに行かせたり、遊びに行かせたりするのは控えたほうがよいでしょう。家庭訪問の場合でも、児童生徒の負担に注意しながら進めます。保護者の心には不安や焦り、怒り、自責の念などが入りまじるので、教師は保護者と定期的に連絡を取り、その不安などをよく聴き取り、支えるよう努めます。保護者との連絡を定期的に取ることにより、児童生徒の心理的変化を把握し、登校へ向けての具体的な方法や開始の時期などを管理職や学年主任、教育相談担当、養護教諭などと十分に話し合うことが大切です。保護者と教師の落ち着いた姿勢が問題解決につながります。さらに、教育センター等の専門機関の助言や支援を得ることも有効な方法となります。また、専門機関や医師による診断を勧める場合は、管理職との十分な打合せが必要です。