体罰を禁止する条文は明治期の以下に規定されていました。
「教育令」(明治12年)第46条:「凡学校ニ於テハ生徒ニ体罰(殴チ或ハ縛スルノ類)ヲ加フヘカラス」
「小学校令」(明治23年)第63条:「小学校長及教員ハ児童ニ体罰ヲ加フルコトヲ得ス」
現在は学校教育法第11条に規定されており、
児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例は以下です。
(1)体罰(通常、体罰と判断されると考えられる行為)
○身体に対する侵害を内容とするもの
・ 体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を足で踏みつける。
・ 帰りの会で足をぶらぶらさせて座り、前の席の児童に足を当てた児童を、突き飛ばして転倒させる。
・ 授業態度について指導したが反抗的な言動をした複数の生徒らの頬を平手打ちする。
・ 立ち歩きの多い生徒を叱ったが聞かず、席につかないため、頬をつねって席につかせる。
・ 生徒指導に応じず、下校しようとしている生徒の腕を引いたところ、生徒が腕を振り払ったため、当該生徒の頭を平手で叩(たた)く。
・ 給食の時間、ふざけていた生徒に対し、口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけ、生徒に当てる。
・ 部活動顧問の指示に従わず、ユニフォームの片づけが不十分であったため、当該生徒の頬を殴打する。
○被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
・ 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
・ 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
・ 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。
(2)認められる懲戒(通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為)(ただし肉体的苦痛を伴わないものに限る。)
※ 学校教育法施行規則に定める退学・停学・訓告以外で認められると考えられるものの例
・ 放課後等に教室に残留させる。
・ 授業中、教室内に起立させる。
・ 学習課題や清掃活動を課す。
・ 学校当番を多く割り当てる。
・ 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
・ 練習に遅刻した生徒を試合に出さずに見学させる。
(3)正当な行為(通常、正当防衛、正当行為と判断されると考えられる行為)
○児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使
・ 児童が教員の指導に反抗して教員の足を蹴ったため、児童の背後に回り、体をきつく押さえる。
○他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使
・ 休み時間に廊下で、他の児童を押さえつけて殴るという行為に及んだ児童がいたため、この児童の両肩をつかんで引き離す。
・ 全校集会中に、大声を出して集会を妨げる行為があった生徒を冷静にさせ、別の場所で指導するため、別の場所に移るよう指導したが、なおも大声を出し続けて抵抗したため、生徒の腕を手で引っ張って移動させる。
・ 他の生徒をからかっていた生徒を指導しようとしたところ、当該生徒が教員に暴言を吐きつばを吐いて逃げ出そうとしたため、生徒が落ち着くまでの数分間、肩を両手でつかんで壁へ押しつけ、制止させる。
・ 試合中に相手チームの選手とトラブルになり、殴りかかろうとする生徒を、押さえつけて制止させる。
以上(文部科学省資料参照)